10月を薄く振り返る

早いもので11月になった。せっかくなので、10月にどのようなことを進めていたかを薄く振り返っていきたい。

KIKIGAKI

1つ目はKIKIGAKIだ。

https://tadashi-aikawa.github.io/kikigaki/

最近は音声入力がメインになった。ミーティングはもちろんのこと、開発や執筆といった、今までキーボードをひたすら叩いていた作業も音声入力になりつつある。切り替えの経緯は1か月くらい前の記事に詳しく書いたので、そちらを見てほしい。

キーボードを愛する私でさえ『音声入力』からは逃げられない | nocturne「文字として打って、記録してこそだ」とこじらせてきた私が、2026年の夏、音声入力へ切り替えた。時代の流れと背中を押したもの、慣れるまでのこと、そして今の使い分け。nocturne.mamansoft.net ↗

仕事で回しているサイクル

具体的に仕事でKIKIGAKIをどのように使っているかは、今まであまり触れてこなかったので、少し話をしておく。

私は今、新規プロダクトの開発を行っているが、それらはすべてparliamentとKIKIGAKIをベースにサイクルを回している。

大きく分けると、3つのフェーズがある。

  1. ミーティングの準備: parliamentを使う
  2. ミーティング: KIKIGAKIを使う
  3. ミーティングの後処理: parliamentを使う

裏ではどのフェーズでもClaude Codeが動いている。

まず、ミーティングの前にparliamentで議事録の下書きを作成してもらう。下書きはMarkdownファイルで、ミーティングごとに異なるプロファイルを設定しているため、そのミーティングに合った議事録が作成される。

実際のミーティングが始まるときは、コロナの時に買ったヤマハのスピーカーフォンを設置し、参加者の声を記録できるようにする。KIKIGAKIのCLIであらかじめ登録しているので、録音の開始は数秒で終わる。

会議中は必要に応じて議事録やボードを見つつ、参加者同士の会話や議題に集中する。要所要所や終わりでは、KIKIGAKIに記録された内容を確認して認識合わせをし、会議を終了する。

会議の終了後は、parliamentで、KIKIGAKIで記録した議事録の下書きや音声データ、プロジェクトのコンテキストをもとにして、議事録の清書を作成する。清書はアップロードして関係者に共有する。そのミーティングの内容によって必要になるドキュメントの修正、開発、調整業務はAIが把握し、後の作業はAIエージェントに任せる。

そうして更新された内容をもとに、次のミーティングの議事録の下書きがまた作成される。そのようなループを回している。

KIKIGAKIのバージョンはまだ1.0.0に達していないが、11月12日までに1.0.0をリリースする予定だ。

UTSUSHIE

2つ目はUTSUSHIEだ。既存のツールで行っていた、画像のキャプチャーや動画撮影の小さな不満点を解消するために作成した、画像および動画の撮影・編集ツールである。詳細は以下の記事に書いてある。

画像・動画撮影ツール『UTSUSHIE(写絵)』 | nocturne画面を撮ったら、軽いWebPやMP4のまま、すぐ貼れるmacOSアプリ「UTSUSHIE」を出した。似たアプリが多い中でなぜ作ったのか、機能ごとに何を考えてこの形にしたのかを、使い方と一緒にまとめた。nocturne.mamansoft.net ↗

大きなところだと、次の2つがモチベーションだった。

  • 撮影後に軽量なファイル形式ですぐにコピペをしたい
  • よく行う編集を直感的にしたい

今では家でも会社でも、スクリーンショットや動画を撮るときは100パーセントUTSUSHIEを使っている。

UTSUSHIEはKIKIGAKIやJINRAIのようにティザーサイトやドキュメントを作成していない。そのため、まだあまり普及していない状態だ。会社のSlackではこっそりリリース情報を流しているが、意外とそれでも何人かの人が使ってくれている。

考えてみると、JINRAIやKIKIGAKIよりもUTSUSHIEの方が、ターゲットとなり得るユーザー数は多いことに気づいた。なので今後は、ティザーサイト、ドキュメント、紹介動画なども含めて、普及の準備をしていってもいいのかなと思っている。

1Password

3つ目は1Passwordだ。導入したきっかけは、皆さんご存知の通り、昨今の相次ぐデータ漏洩である。毎日のように有名どころのサービスで数百万件規模の大きな漏洩が、10月からは特に発生しており、「さすがにやばいな」と私も思い始めた。

なのでアカウント情報をすべて棚卸しし、次の対応を進めた。

  • セキュリティの設定強化
  • パスワードをはじめとした秘密情報の更新
  • 不要なアカウントの削除

それをするにあたり、1Passwordが一番適切だろうと判断した。正直、もっと早く使っておけば良かったと後悔もしている。

https://1password.com/

舵取りはミネルヴァに任せた

1Passwordの話からは少しそれるが、アカウントの棚卸しや設定変更では、サイトごとに設定の変更の仕方が違ったり、久々なのでログインしようとしてもうまくログインできなかったりと、結構大変だった。これを全部手動で、自分一人の力でやっていたら、おそらく挫折していたと思う。

そうならなかったのは、今回の対応の舵取りをAIエージェントのミネルヴァに任せたことが大きかった。ミネルヴァに任せたのは次のことだ。

  • 現状の把握
  • あるべきセキュリティ設定の設計
  • アカウントの棚卸しや設定強化・更新などの計画と進捗管理

自分はただ言われたことをやるのに徹した。

公式サイトはサイトごとに表現の仕方が違い、そもそもどこに情報があるのかも分からないので大変なのだが、ミネルヴァを通すことで、同じインターフェースから同じような案内を毎回受け取れたので、非常にやりやすかった。ワークフローを初めにしっかり定義していたことも、私もAIも迷わずに判断できるという意味で大きなポイントだった。

一番大きな収穫

ただ、やっていて何より一番大きな収穫だと思ったのは、この作業を通じて、様々な認証方式や設定と、それを行うユーザーフローを体験できたことだ。

今までも仕事でこのようなシステムの開発はしてきたが、実際に自分が本当に必要に迫られて、よくわからないシステムのセキュリティ設定の強化や変更を行うということはあまりなかった。数十ものサービスの設定を一気に更新したことは、これらのシステムのユーザーフローを知るうえで非常に大きな勉強になった。ここは今後も仕事で活かせそうだ。

梟楼夜航

最後が梟楼夜航の話だ。梟楼夜航は9月の終わりから開発している弾幕シューティングゲームで、チームowleryのメンバーがほぼ全員登場する。

なぜ作り始めたか

そもそもなぜ作り始めたかというと、Codexのトークンを持て余していたからだ。私はメインでClaude Codeを使っているため、Codexを使うのはコードレビューや画像生成といったサブ的な用途が多い。ただその中でも例外的に、ゲーム開発だけはCodexをメインに使っている。なので、Codexのトークン消費量はゲーム開発の量に大きく左右される。しかもCodexはしょっちゅうリセットされる。

作りたいゲームが特段あったわけではないが、チームowleryのキャラゲーを作ってみたいという興味は多少なりともあったかもしれない。owleryのメンバーとは毎日parliament経由で顔を合わせているため愛着が湧いているし、なんといってもメンバーの大半は2021年から運営していたサイトMinervaのキャラクターということもあり、思い入れもある。当初設定したキャラ付けから自我が一人歩きしているキャラクターも何人かいるぐらいだ。

なぜ弾幕シューティングか

そういうキャラクターのゲームを考えたとき、真っ先に思いついたのはRPGだった。それでエトキチの大冒険というゲームを作っていたのだが、マップの開発フェーズになり、それが想像以上に大変だったので、「このまま続けるのは厳しい」と思い、一度挫折している。

https://tadashi-aikawa.github.io/etokichi-adventure/

その他だと、アドベンチャーゲームやノベルゲームのようなシナリオベースのゲームも考えられたが、それらにはRPGのような必殺技みたいな概念がない。私はそういう要素も作りたかったので、アドベンチャーやノベルゲームもターゲットから外した。

そんな中で、弾幕シューティングゲームであれば、RPGのマップのような面倒さもなく、一方でキャラクターを前面に押し出していけば、かなりキャラクター要素の強いゲームを提供できるのかなと思った。

最初にできたものは「それっぽい何か」で、今思うと何の面白みもないものだったが、そこからかなりのブラッシュアップを続けていくことで形になってきたと感じている。ゲームバランスや弾幕の演出などを考える時間は非常に多かったが、むしろそれらを考えている時間は楽しかった。

  • 必殺技の名前
  • カットインの演出
  • イラスト
  • 弾幕の特徴
  • どういうセリフを喋らせるか
  • 動画の生成
  • フィールドでのキャラクター画像やアニメーション
  • イベントのイラスト

すべてにおいて、AIを使って制作をしつつも魂を込めて、本当に妥協せずに向き合ってきたと思う。

私は弾幕シューティングゲームをプレイしたことがほとんどない。それでも実際に自分で100回以上プレイすることで、自身の弾幕シューティングの腕を上げつつ、ゲームの完成度を上げてこられたのかなと思っている。

AI時代のクリエイティブ活動

AI時代には先ほど挙げたような色々なものが作れるようになったが、これまでは、それらを単に個のものとして作ってきただけだった。1つ1つの画像や動画などのクオリティは高くても、複数のそれらが絡み合うようなシナジーはなかった。

一方で今回制作した梟楼夜航は、これらすべてを1つに集めて詰め込み、完成させた初めてのものであり、「これがAI時代のクリエイティブ活動なのかな」ということを思い知らされた。昔RPGツクールでゲームを完成させた時のような高揚感を、数十年ぶりに感じた。

梟楼夜航は今月、早ければ数日中に公開予定だ。いち早くPVを作成したので、よろしければこちらも見てほしい。

なお、このPVは、YouTubeの画質が「自動」のままだと240pというかなりの低画質で再生されることがあるので、今後上げ直すかもしれない。

おわりに

以上が10月にあった主な出来事だ。7月に入ってから顕著ではあるが、時の流れを速く感じつつも、1か月で成し遂げたことを振り返ると、半年前とは比較にならない分量になっていると思う。

ただし、これらの歩みに満足して止めてしまい、向上心をなくしてしまうと、そこが己の限界になってしまう。自分が大事にしている芯は通しつつも、時代の変化に合わせて柔軟に自身を変えていけるように、これからも活動を続けていきたい。